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速くなりたくて、全力疾走を繰り返していた時期がありました。
消防士になって走り始めたころ、「スピード練習」と言えば短い距離を全力で走ることだと思っていました。200mを8本、ひたすら全力。でも全然速くならありませんでした。
ランニング歴8年目、ダニエルズのランニングフォーミュラを読んでから、ようやく理解した。問題はペースではなく、レスト(休息)の取り方にありました。
レペティション(Rペース)はインターバルとは別物です。目的も、レストの考え方も、体への刺激も、まったく違う。この記事では、Rペースの正しい使い方を消防士ランナーの視点で解説する。
📋 この記事を読むと分かること
- レペティション(Rペース)の定義と目的
- インターバル(Iペース)との決定的な違い
- レストを完全回復にすべき理由
- VDOT別のRペース目安と具体的なメニュー例
Rペース(レペティション)とは
ダニエルズのランニングフォーミュラでは、トレーニングを5つのペースゾーンに分類しています。EペースやTペース、Iペースと並んで位置づけられるのがRペース(レペティション)です。
Rペースの目的は主に3つあります。
① ランニングエコノミー(走りの経済性)の向上
② スピードの底上げ
③ フォームの改善
強度はVO2maxを超えるレベル。現時点の1500m〜1マイルのレースペースに相当する。短距離ランナーが行うような全力疾走に近い感覚だが、フォームを崩さずに走れることが前提です。
1本の距離は200m〜400mが基本。長くても疾走時間が2分を超えないこと。これはRペースが「スピードと質」のトレーニングであるため、疲弊した状態で走り続けることに意味がないからです。
👉 ダニエルズのランニングフォーミュラとは?消防士ランナーが5つのペースゾーンを解説
インターバル(Iペース)との違い|最も混同しやすいポイント
Rペースを語るうえで絶対に理解しておきたいのが、Iペース(インターバル)との違いです。距離が短くてペースが速い、という点だけ見ると似ているが、目的もレストの考え方も根本から異なります。
| 項目 | Iペース(インターバル) | Rペース(レペティション) |
|---|---|---|
| 主な目的 | VO2max向上 | スピード・エコノミー・フォーム |
| 強度 | VO2max(最大酸素摂取量の100%付近) | VO2maxを超える(レース以上) |
| 1本の距離 | 800m〜1200m | 200m〜400m |
| レスト | 不完全回復でOK(1〜3分) | 完全回復が必須(疾走時間の2〜3倍以上) |
| 狙う刺激 | 累積VO2max時間 | 1本ごとの質とフォーム |
Iペースは「累積してVO2maxに刺激を与える」トレーニングなので、レストが不完全でも構いません。むしろある程度の疲労状態で走ることに意味があります。
Rペースはまったく逆です。1本ごとの質が命。フォームが崩れた状態で走ることに意味はありません。だからレストは完全回復が前提になります。
👉 インターバル走(Iペース)の正しいやり方|消防士ランナーがVO2max理論から解説
従来のスピード練習との比較|なぜ「短いレスト」が常識になっていたのか
ダニエルズのランニングフォーミュラが日本で広く読まれるようになる前、レペティション的な短距離スピード練習は別の文脈で行われていました。
高校・大学の陸上部でも、実業団の練習でも、「200mや400mを繰り返す」メニューは昔からあります。ただしそこでのレストは短い。200mを10本やるとして、繋ぎは100mジョグ(約30〜40秒)か、疾走タイムと同じくらいの時間。400mを8本やるなら、繋ぎは200mジョグ(約1分前後)というケースが多い。
この種の練習の目的は主に2つです。
① 乳酸耐性の向上(疲れた状態でも速く走れる能力)
② VO2max刺激(心肺系への高強度負荷)
レストを短くすることで疲労が蓄積し、後半まで追い込まれます。これはIペース(インターバル)に近い考え方です。悪い練習ではないが、ダニエルズが定義するRペースとは別物です。
| 項目 | 従来型スピード練習 | ダニエルズのRペース |
|---|---|---|
| 代表例 | 200m×10本(100m繋ぎ) | 200m×10本(2〜3分完全回復) |
| レスト | 疾走時間と同程度or以下 | 疾走時間の2〜3倍以上 |
| 主な目的 | 乳酸耐性・VO2max刺激 | ランニングエコノミー・フォーム・スピード |
| 後半の状態 | フォーム崩れOK(追い込み系) | 最後まで同じフォームで走れること |
| どちらに近いか | Iペース(インターバル)寄り | Rペース(本来の意味) |
私自身、1500mのタイムを伸ばしたくて「200m×10本(100m繋ぎ)」や「400m×8本(200m繋ぎ)」を繰り返していました。レストは事実上インターバルと変わりません。心肺的にはかなりきつく、「スピード練習をやっている感」は強かった。
しかしこの練習で鍛えられていたのは主に心肺持久力と乳酸耐性です。1500mという短距離で大切な「神経筋系のスピード」や「フォームの質」には、ほとんど刺激が入っていありませんでした。その証拠に、タイムはなかなか伸びありませんでした。
✅ どちらが悪い練習というわけではない。従来型の短いレストによる繰り返し走は、乳酸閾値付近の耐性を高めるという意味では有効です。ただ、それはRペースではなくIペース(あるいはTペース)的な刺激だと理解しておく必要があります。
目的に応じて使い分けることが重要です。
⚠️ 今振り返ると、これが怪我の一因だったとも思っています。フォームが崩れた状態でスピードを出し続けることは、筋肉・腱・関節への負担が想像以上に大きい。「速く走ろう」という意識が強くなりすぎると力みが生じ、膝・足底・アキレス腱などへの過負荷につながりやすい。
Rペースでレストをしっかり取るのは、効果を高めるためだけではありません。フォームを崩さないことが怪我予防にも直結しているのだと、今は理解しています。
レストは完全回復が正解
Rペースのレストは、疾走時間の2〜3倍以上が目安です。200mを40秒で走ったなら、レストは80〜120秒以上。400mを90秒で走ったなら3〜4分は休む。
「そんなに休んで意味あるの?」と思うかもしれません。でも意味があります。Rペースは有酸素系への刺激ではなく、神経筋系への刺激です。速い動きのパターンを体に覚えさせることが目的なので、疲れた状態でフォームが崩れたまま走っても効果が薄い。
私が以前やっていた失敗は、インターバルと同じレストでRペースのメニューをこなそうとしたことです。後半は完全にフォームが崩れ、「速く走っている感覚」すらなくなりました。それはRペースではなくなっていました。
VDOT別のRペース目安
自分のVDOTに合ったRペースは、ダニエルズのVDOT表またはvdoto2.comで確認できます。参考として主要なVDOT帯の目安を示す。
| VDOT | 400m Rペース | 200m Rペース | 参考レース(5km) |
|---|---|---|---|
| 42 | 約1:58 | 約59秒 | 25分台 |
| 46 | 約1:48 | 約54秒 | 23分台 |
| 50 | 約1:40 | 約50秒 | 21分台 |
| 55 | 約1:30 | 約45秒 | 19分台 |
※ 上記はおおよその目安。正確な値はVDOT計算機で確認することを推奨する。
具体的なメニュー例
Rペースのメニューは距離が短い分、本数を多めに設定できます。ただし合計距離はVDOTによって制限があり、Rペースは週間走行距離の5〜8%以内が目安とされています。
✅ 入門〜中級者向け(VDOT 42〜50)
- 200m × 8〜10本(レスト:200mジョグか2〜3分)
- 400m × 8本(レスト:400mジョグか3〜4分)
- 400m × 4〜6本(レスト:400mジョグか3〜4分)
- 200m × 4本 → 400m × 2本 → 200m × 4本(ラダー形式)
私がよく行うメニューは主に2つ。200m × 8〜10本と400m × 8本です。
200mはトラックで1コーナーを全力で走り、残り3コーナーをジョグで戻るサイクル。400mは1周を全力で走ったあと、400mジョグか3〜4分休んでから次の本に入る。どちらも1本ごとに「フォームは崩れていないか」を意識しながら走る。
✅ フォームチェックの目安
Rペースで走るとき、以下の感覚があれば正しいペースに近い。
・足が地面を蹴る感覚がはっきりある
・腕振りにリズムがある
・フォームが最後まで崩れない
逆に「ガタガタ」「バラバラ」な感覚になってきたらペースオーバー。レストを延ばすか、本数を減らすべきサインです。
「あと2本いける」で終わる
テンポ走やインターバルと同じく、Rペースも余裕を残して終えることが重要です。「あと2〜3本走れる」という状態でやめることが、次の練習の質にもつながります。
疲れ果てるまで走ることが美徳だと思っていた時期があります。でも消防の訓練と同じで、練習は翌日も動ける状態で終えることが基本です。限界まで追い込むのはレース当日で構いません。
頻度と他の練習との組み合わせ
Rペースは週1回が基本。神経筋系への刺激が強いため、他の質練習(TペースやIペース)との間には最低2日のジョグ日を挟む。
例えば月曜にRペース、火水はジョグ、木曜にTペース、という組み合わせが一例。どちらも「速く走る」練習なので同じ週に2回こなすと回復が追いつかなくなります。
私の失敗談|レストを短くしてまったく意味がなかった時期
レペティションを知った当初、「インターバルより速いペースで走るトレーニング」くらいの理解しかありませんでした。だからIペースと同じように、レストを1分程度に設定して200mを10本走っていました。
結果、後半はまったくペースが上がらず、最後の2〜3本は完全にシャッフルで走るだけになっていました。スピード練習のはずが、ただ「疲れる練習」になっていました。
ダニエルズを読んでから、レストを3〜4分に延ばした。すると同じ本数でも最後まで同じフォームで走れた。「速く走れた感覚」は練習後の充実感が全然違う。
まとめ
- Rペースはスピード・ランニングエコノミー・フォーム改善が目的
- IペースとRペースは目的もレストの考え方もまったく異なる
- レストは完全回復(疾走時間の2〜3倍以上)が鉄則
- 1本の距離は200〜400m、疾走時間は2分以内
- 「あと2本いける」という余裕を残して終える
- 頻度は週1回、他の質練習と中2日は空ける
Rペースは量より質のトレーニングです。本数を増やすよりも、1本1本フォームを意識して丁寧に走ることのほうが何倍も価値があります。ぜひ試してみてほしい。
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ダニエルズのランニングフォーミュラは、ランナーなら一度は読んでほしい一冊。Rペースをはじめ5つのペースゾーンの根拠がすべて書かれています。


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