消防士になるのに公務員専門学校は必要?|2年制に通い一発合格した現役14年目が、受ける区分・学費の目安・向き不向きを正直に話す

木の机でノートに書き込みをしながら勉強する手元 消防士のリアル
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消防士になるのに、専門学校は必須ではありません。
2年制の専門学校に通った私が、あえてそう言います。

現役14年目の消防士です。
階級は消防士長で、救急救命士の資格も持っています。
高校を出たあと、公務員試験のための専門学校に通いながら受験し、高卒程度の区分で一発合格しました。

「消防士になりたいなら、専門学校に行くべき?」
「学費はいくらかかるの?」
「専門学校を出たら、高卒程度と短大卒程度のどちらで受けるの?」
この記事では、こうした疑問に、法律や国の統計、募集要項の読み方、そして私自身の経験で答えます。
高校生のみなさんと、保護者の方に向けて書いています。

学校の宣伝でも、学校を否定する記事でもありません。
実際に通った本人の立場で、役に立ったことも、自分でやる必要があったことも、そのまま書きます。
後半では、私がもう一度選ぶならどの道かも書きます。

📋 この記事を読むと分かること

  • 消防士になるのに専門学校が必須ではない理由(採用の決まり方)
  • 専門学校卒は「高卒程度」「短大卒程度」のどちらで受けるか(募集要項の学歴欄の読み方)
  • 国の統計で見る専門学校の学費の目安と、学費のほかにかかるお金
  • 専門学校で役に立ったこと・自分でやる必要があったことと、行ったほうがいい人・行かなくていい人
  • 「合格率」の数字の読み方と、説明会で聞きたい10の質問
    1. 📋 この記事を読むと分かること
  1. ✅ 結論:消防士になるのに専門学校は必須ではありません
  2. 私の進路:高校卒業→公務員試験の専門学校(2年制)→高卒程度の区分で一発合格
  3. 専門学校卒は「高卒程度」「短大卒程度」どちらで受ける?募集要項の「学歴」欄の読み方
    1. 募集要項の学歴欄、よくある3つの書き方
    2. 受けたい本部の決まりを確かめる4つの手順
    3. 専門士とは?「2年制なら必ずもらえる」わけではありません
  4. 公務員系の専門学校と救急救命士の養成校は「何にお金を払うか」が違う
  5. 学費はいくら?国の統計で見る1年あたりの目安と、学費のほかにかかるお金
    1. この数字を使うときの5つの注意
    2. 学費のほかにかかるお金
    3. 「専門学校」と名乗れるのは、法律の条件を満たす学校だけ
    4. 国の支援と奨学金
  6. 専門学校で役に立ったことと、自分でやる必要があったこと
    1. ✅ 特に役に立ったこと:毎日の環境・模試と過去問・同じ目標の仲間
    2. ❌ 自分でやる必要があったこと:体力と「なぜこの自治体か」
  7. 専門学校に行ったほうがいい人・行かなくていい人
    1. もし高校3年生に戻れたら(私の答え)
    2. 高校を出たあとの3つの道(高3で落ちた人も)
    3. 保護者の方へ:決める前に話し合いたい3つのこと
  8. 「合格率」の数字を見る前に:説明会・資料請求で聞いておきたい10の質問
  9. 専門学校に行かないなら:独学か講座かは、こちらで判断を
  10. よくある質問
    1. Q. 専門学校に行ったかどうか、消防に入ってから関係ありますか?
    2. Q. 大学と専門学校、給料はどちらが得ですか?
    3. Q. 1年制と2年制、どちらがいいですか?
    4. Q. 専門学校で救急救命士の資格は取れますか?
    5. Q. 専門学校では、どんな教材を使いましたか?
    6. Q. 専門学校に行けば受かりますか?
  11. まとめ:まずは受けたい本部の募集要項を1つ開いてください

✅ 結論:消防士になるのに専門学校は必須ではありません

消防士は地方公務員です。
なるためには、受けたい消防本部の採用試験に合格する必要があります。
総務省消防庁も、公式のQ&Aでそう説明しています。
全国で一つの試験があるわけではなく、本部ごとに受けます。

専門学校を卒業していることは、消防士になるための条件ではありません。
受けられるかどうかを決めるのは、募集要項に書かれた「受験資格」です。

受験資格は、仕事に必要な最小限で、だれにでも同じ条件にすることが、法律(地方公務員法)で決まっています。
そのうえで、区分の分け方や試験の中身は、それぞれの自治体の側で決めます。
だから、区分の名前も、試験の中身も、本部ごとに違うのです。

例として、東京消防庁の消防官Ⅲ類(令和8年度)を見てみます。
受験資格は、生年月日(2005年4月2日〜2009年4月1日生まれ)と、日本の国籍がない人や、法律で公務員になれないと決められた人(欠格条項)に当たらないことだけです。
学歴の条件は書かれていません。
教養試験は「高校卒業程度の五肢択一式試験」と説明されています。
試験は、第1次が教養試験・作文試験・適性検査と資格・経歴評定、第2次が身体・体力検査と口述試験(面接)です。

ひとつ、まぎらわしい言葉があります。
採用されたあとに入る「消防学校」は、受験の前に通う専門学校とは別のものです。
消防学校は、採用された人が、配属の前に約6か月、全寮制で初任研修を受ける場所です。
つまり、消防学校に入るのは採用が決まってからです。

私の職場にも、専門学校や講座を使わずに受かった人がいます。
専門学校は、受験の準備のしかたの一つです。

※出典:総務省消防庁「女性消防吏員の活躍推進のためのポータルサイト Q&A」/e-Gov法令検索「地方公務員法」第17条の2・第18条〜第20条(採用試験は人事委員会が行い、置いていない自治体では任命権者が行う)/e-Gov法令検索「消防組織法」第15条(消防長以外の消防職員は消防長が任命する)/総務省消防庁「消防本部サーチ(東京消防庁)」令和8年度 採用試験情報/東京消防庁採用情報サイト「消防官Ⅲ類」(いずれも2026年10月に確認)

私の進路:高校卒業→公務員試験の専門学校(2年制)→高卒程度の区分で一発合格

まず、私がどんな道を通ってきたかを書いておきます。

高3のときは、消防の採用試験を受けていません。
はじめから、高校を出たら専門学校に行くと決めていました。
選んだ理由は、ひとりでは勉強が続かないと思ったからです。

通ったのは、公務員試験のための2年制の専門学校です。
消防官や警察官といったコースには分かれていませんでした。
教材は、学校が集めた紙の教材でした。

勉強時間は、授業の時間も含めて、1日8時間を下回らないようにしていました。
自習だけで8時間ではありません。

そして、専門学校に通いながら高卒程度の区分で受験し、一発で合格しました。
ただ、手応えはまったくありませんでした。
受験したのは10年以上前です。

採用されたあとは、8年目に救急救命士の研修所へ半年行き、仕事として救急救命士の資格を取りました。
救急救命士は、専門学校で取った資格ではありません。

受験のときの勉強の仕方や、うまくいったこと・失敗したことは、こちらでくわしく書いています。

👉 消防士になるには?現役14年目が採用試験・面接・必要な資格や年齢を正直に解説【体験談】

専門学校卒は「高卒程度」「短大卒程度」どちらで受ける?募集要項の「学歴」欄の読み方

専門学校を考えている人が、いちばん迷うのがここだと思います。
結論から言うと、本部によって決まりが違います。
答えは、受けたい本部の募集要項に書いてあります。
私が受けたのは10年以上前なので、私の例もそのまま当てはめないでください。

上で見た東京消防庁の消防官Ⅲ類は、受験資格に学歴の条件がなく、教養試験を「高校卒業程度」の水準で行う区分でした。
このように、「程度」が試験の水準を表している本部があります。
ただし、区分を学歴で分けている本部もあります。
「程度だから学歴は関係ない」と決めつけないでください。

募集要項の学歴欄、よくある3つの書き方

どれも、2026年度に実際に出ている募集要項の書き方です。

書き方A:「学歴は問いません」
受験資格は生年月日だけです。
「高校卒程度」は試験の水準の名前で、学歴の条件ではありません。
→ 年齢が合えば、専門学校卒の人も高校卒程度の区分を受けられます。

書き方B:「学歴は問わない。ただし4年制大卒は受けられない」
その程度の学力があれば学歴は問わない、と書いたうえで、4年制大学を出た人を高校卒程度の区分から外しています。
→ 外されるのが4年制大卒だけなら、専門学校卒の人は高校卒程度の区分を受けられます。
外される学歴に専門学校が入っていないか、注意書きを読みます。

書き方C:「学歴と称号で区分が決まる」
専門学校を出た人は、取った称号で受ける区分が決まります。
高度専門士なら大学卒の区分、専門士なら高専・短大卒の区分、どちらもなければ高校卒の区分です。
→ 専門士の称号を持っている(持つ見込みの)人は、高校卒の区分を受けられないことがあります。

東京消防庁の消防官Ⅰ類は、「大学卒業程度を想定した」区分と説明されています。
Ⅰ類は、若い年齢の人については、大学卒業(見込みを含む)か同等の資格があることが条件です。
ここで挙げた書き方は、どれも令和8年度(2026年度)のものです。
決まりは年によって変わることがあるので、必ずその年の要項を見てください。

受けたい本部の決まりを確かめる4つの手順

  • ① 受けたい本部の、今年の募集要項を開く(去年のものではなく、今年のもの)
  • ② 受験資格の欄で、「学歴は問いません」とあるか、「〜を卒業した人(見込みを含む)」とあるかを見る
  • ③ 「専門学校」「専門士」「大学(短期大学を除く)」といった言葉が出てくる注意書きを探す
  • ④ それでも分からなければ、募集要項に書いてある問い合わせ先(人事委員会・市の人事課・消防本部など)に聞く

あわせて、年齢も見てください。
高校卒程度の区分にも、生年月日の範囲があります。
専門学校に通ってから受ける場合は、その年に受けられる年齢かどうかを、先に要項で見ておくと安心です。

専門士とは?「2年制なら必ずもらえる」わけではありません

専門士は、専門学校の課程を修了した人がもらえる称号です。
令和8年(2026年)4月から、制度が少し変わりました。

  • 令和8年4月1日以後に入学した人:修業年限2年以上・62単位以上の「特定専門課程」を修了すると、専門士を名乗れます
  • 令和8年3月までに入学した人:これまでの制度のままです。修業年限2年以上・総授業時数1,700単位時間以上などの条件を満たし、文部科学大臣の認定を受けた学科を修了した人だけが専門士です
  • 1年制の課程:修了しても専門士にはなりません

つまり、「2年制だから必ず専門士」とは限りません。
もらえる学科かどうかは、入る前に学校に聞けば分かります。
書き方Cの本部では、称号のあるなしで受ける区分が変わるので、ここは大事です。

初任給も、受ける区分によって変わります。
東京消防庁の消防官Ⅲ類の採用ページには、初任給のあとに「学歴、職歴等に応じて、一定の基準により加算される場合があります」と書かれています。
専門学校に通った年数が加算されるかどうかは、本部の決まりしだいです。
高卒と大卒の給料の差は、こちらにまとめています。

👉 消防士の年収を年代別に解説【20代〜50代・高卒/大卒の違い】|現役14年目が目安と実体験を公開

※出典:総務省消防庁「消防本部サーチ(東京消防庁)」令和8年度 採用試験情報/東京消防庁採用情報サイト「消防官Ⅲ類」/東京消防庁「報道発表資料(令和5年10月17日)」/文部科学省「専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程」/文部科学省「令和6年度学校教育法等の改正に係るQ&A」/文部科学省「学校教育法等の改正に伴う各専修学校における対応について」(いずれも2026年10月に確認)

公務員系の専門学校と救急救命士の養成校は「何にお金を払うか」が違う

「消防士 専門学校」で調べると、2種類の学校が混ざって出てきます。
公務員試験のための専門学校と、救急救命士の養成校です。
名前は似ていても、お金を払って手に入れるものが違います。

比べるところ公務員系の専門学校救急救命士の養成校
何にお金を払うか公務員試験の対策と、毎日通って勉強する環境救急救命士の国家試験を受けるための教育
卒業すると残るもの専門学校卒の学歴(課程によっては専門士の称号)国家試験に受かれば、救急救命士の資格
消防の採用との関係卒業は受験の条件ではない。採用試験には別に受かる必要がある資格があっても、消防士になるには採用試験に受かる必要がある

公務員系の専門学校には、「消防官コース」などのコースを置く学校もあります。
私の学校は、コースに分かれていませんでした。
コースの名前より、このあと紹介する「説明会で聞きたい10の質問」で中身を比べてください。

私は、表の「公務員系の専門学校」の道です。
救急救命士の資格をとると給料や手当がどう変わるかは、こちらにまとめています。

👉 救急救命士を取ると消防士の給料は上がる?条例で見る手当の差は1回110〜360円|取得翌月に消防士長になった現役14年目のリアル

学費はいくら?国の統計で見る1年あたりの目安と、学費のほかにかかるお金

学費は、学校ごとに違います。
そこでこの記事では、国の統計で目安を見ます。
個別の学校の金額は載せません。

日本学生支援機構(JASSO)の「令和6年度専門学校生生活調査」では、専門学校生の1年あたりの学費の平均は次のとおりです。

項目(1年あたり)専門学校生全体の平均私立の平均
授業料720,100円738,000円
その他の学校納付金(入学金は含まない)187,100円191,400円
学費の合計(修学費・課外活動費・通学費も含む)1,143,900円1,168,700円

全体の平均では、学費の合計のうち、修学費が123,100円、課外活動費が14,400円、通学費が99,200円です。
生活費まで入れた「学生生活費」の平均は、1年で1,806,700円でした。

この数字を使うときの5つの注意

  • 入学金は入っていません(「その他の学校納付金」に入学時の納付金は含まれない)
  • 授業料は、減免を受けた人は減免後の額、全額免除の人は0円で集計されています
  • 授業料は無回答がとても多く、平均値で補って集計されています
  • 医療・工業などを含む、全分野の専門学校生の平均です。公務員系の学校だけの数字ではありません
  • 外国人留学生・通信課程・休学中の人は対象外です

だから、この数字を「2倍すれば2年分」とは言えません。
実際の金額は、行きたい学校の募集要項で、入学金と卒業までの授業料などを足すと分かります。

学費のほかにかかるお金

学費の統計に入らないお金もあります。
金額は人によって違うので、項目だけ挙げておきます。

  • 一人暮らしや寮の費用(家から通えない場合)
  • 学費に含まれない教材や模試の費用(含まれるかどうかは学校に聞く)
  • 採用試験を受けに行く交通費や宿泊費(遠くの本部を受ける場合)

「専門学校」と名乗れるのは、法律の条件を満たす学校だけ

「専門学校」という名前は、法律(学校教育法)の条件を満たした学校だけが使えます。
「公務員の学校」と呼ばれるところには、予備校などもあります。
専門士や、次に書く国の支援の対象になるのは専門学校なので、入る前に学校の案内で見ておきましょう。

国の支援と奨学金

国の「高等教育の修学支援新制度」は、大学や短大と同じように、専門学校も対象です。
授業料・入学金の減免と、返さなくてよい給付型の奨学金があります。
ただし、対象になるのは国の確認を受けた学校だけで、受けられる人の条件(家庭の収入など)も決まっています。
行きたい学校が対象かどうかは、文部科学省のページにある一覧で分かります。

一方で、貸与型の奨学金は、あとで返すお金です。
借りる場合は、卒業後にいくら返すことになるかまで、家族で話してから決めてください。

もう一つの見方として、専門学校に通わずに高卒程度で受かれば、通う期間のぶん早く働き始めることになります。
どちらがいいかは、お金だけでは決められません。

私の学校で特に役に立ったのは、毎日決まった時間に勉強する環境・模試と過去問・同じ目標の仲間でした(くわしくは次の章)。
学費を払う価値があるかは、これを自分でそろえられるかどうかで考えると、比べやすくなります。

※出典:日本学生支援機構「令和6年度専門学校生生活調査結果」/日本学生支援機構「令和6年度専門学校生生活調査 集計表」/日本学生支援機構「収入・支出項目の説明」/e-Gov法令検索「学校教育法」第124条〜第126条・第134条・第135条/文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(いずれも2026年10月に確認)

専門学校で役に立ったことと、自分でやる必要があったこと

ここからは、私の体験です。
私の学校に何があって、何が特に役に立ったのかを、そのまま書きます。

学校にあったもの私の学校では
毎日決まった時間に勉強する環境◎ 特に役に立った
模試・過去問◎ 特に役に立った
同じ目標の仲間◎ 特に役に立った
面接の練習○ あった
作文の添削○ あった
受ける本部の情報○ あった
体力試験の練習✗ なかった

✅ 特に役に立ったこと:毎日の環境・模試と過去問・同じ目標の仲間

特に役に立ったのは、次の3つです。

  • 毎日決まった時間に勉強する環境
  • 模試と過去問(学校が集めた紙の教材)
  • 同じ目標の仲間

ひとりでは勉強が続かないと思って専門学校を選んだ私には、この3つがそろっていたことが大きかったです。
授業も含めて1日8時間という勉強時間も、この環境の中でのものです。
このほか、面接の練習、作文の添削、受ける本部の情報もありました。

❌ 自分でやる必要があったこと:体力と「なぜこの自治体か」

自分でやる必要があったことは、2つあります。
体力と、面接の「なぜこの自治体か」です。

① 体力
私の学校には、体力試験の練習はありませんでした。
高校は野球部でした。
1500m走に向けては、自己流でランニングを始めました。
当時は「速く走れば早く上手くなる」と思い込み、毎回全力に近いペースで走っていました。
結果は、翌日の疲れと痛みでまともに走れず、練習が続きませんでした。

それでも、本番の1500mは5分5秒、懸垂は15回でした。
最初に正しいペースを知っていれば、あのとき練習が途切れることはなかったと思います。
体力試験の準備や、走り始めのペースはこちらにまとめています。

👉 消防士採用試験「体力試験」対策|現役14年目が実践した1500m走と懸垂の準備法

👉 消防士採用試験の1500mは何分?|19歳男子の全国平均7分08秒と5分5秒で合格した現役14年目の目安

👉 消防士ランナー8年目が教える|ランニングを始めたい人が最初の1ヶ月にすべきこと

② 面接の「なぜこの自治体か」
学校には、面接の練習も、受ける本部の情報もありました。
それでも、面接でいちばん答えが弱かったのが「なぜこの自治体を受けたのですか?」でした。
その地域の災害の特徴を、自分で調べていなかったのです。

本部の情報があっても、その地域の災害の特徴を自分の言葉で話せるまで調べるのは、自分です。
自治体研究のやり方や、聞かれやすい質問はこちらにまとめています。

👉 消防士の面接で聞かれること|「なぜこの自治体か」で失敗した現役14年目が質問例と答え方を解説

振り返ると、受かったのは、筆記・体力・面接のどれも大きく崩れなかった「総合点」だったと思っています。

専門学校に行ったほうがいい人・行かなくていい人

専門学校が合うかどうかは、人によって違います。
私の体験と、ここまでの制度の話をもとに、判断の目安を表にしました。

こんな人目安理由
ひとりでは勉強が続かないと思う向いている私が選んだ理由。毎日決まった時間に勉強する環境が、特に役に立った
模試・過去問や、面接の練習・作文の添削をまとめて受けたい向いている私の学校には、どれもあった(何があるかは学校ごとに違う)
自分で毎日、勉強を続けられる行かなくてもいい職場には、専門学校や講座を使わずに受かった人もいる
体力や自治体研究が課題学校だけに頼らない私の学校には体力試験の練習がなかった。受ける本部の情報はあったが、地域の災害の特徴は自分で調べていなかった
救急救命士の資格を持って採用されたい養成校の道も調べる公務員試験の学校とは学ぶ中身が違う。私は採用後に研修所で取った
学費を貸与型の奨学金に頼る予定返す額まで家族で話してから決める貸与型はあとで返すお金。学費の目安は「学費はいくら?」の章

もし高校3年生に戻れたら(私の答え)

高校3年生に戻れるとしたら、私は働きながら独学か講座で受ける道を選ぶと思います。
理由は2つあります。
今は良い講座がたくさんあって、選択肢があること。
そして、親に金銭面で迷惑をかけたくないことです。
専門学校で特に役に立ったものがあったのも本当です。
そのうえでの、今の私の答えです。

ただし、これは私が自分にあてはめた答えです。
どの道が合うかは人によって違うので、上の表で自分に近いほうを見てください。

高校を出たあとの3つの道(高3で落ちた人も)

高3で受けて落ちた人や、まだ受けていない人の道は、大きく3つです。
私は高3では受けていないので、ここは一般的な比べ方として書きます。

道良いところ気をつけること
専門学校に通って受ける毎日決まった時間に勉強する環境や、模試・仲間がそろう(私の場合)学費がかかる。受ける年に年齢の条件に入るかを見ておく
働きながら独学か講座で受ける収入を得ながら準備できる勉強の時間を自分でつくる必要がある
大学に行って大卒程度で受ける大学卒業(見込み)を条件にする区分も受けられる受けるのは大学4年の年(高校卒業から3年あまり後)になる

どの道でも、まず見てほしいのが年齢です。
年齢の上限は、本部や区分によって違います。
受けたい本部の募集要項で、「来年も受けられる年齢か」を先に見ておきましょう。

社会人から消防士を目指す人は、働きながらの準備のしかたや年齢制限を、こちらにまとめています。

👉 社会人から消防士になるには?転職の年齢制限・試験対策を現役14年目が解説

保護者の方へ:決める前に話し合いたい3つのこと

学費を出すかどうかを考えている保護者の方に、家族で話し合ってほしいことを3つ挙げます。

  • ① 本人が、ひとりで毎日勉強を続けられそうか(私が専門学校を選んだ理由は、ひとりでは勉強が続かないと思ったことでした)
  • ② 入学金を含めた卒業までの総額と、奨学金を借りるなら卒業後に返す額
  • ③ 受けたい本部の区分と年齢の条件。そして、不合格だったら次の年も受けるのか、就職するのか

③は、専門学校に行く場合も、行かない場合も同じです。
受けたい本部の募集要項を一緒に開いてみると、話が具体的になります。

「合格率」の数字を見る前に:説明会・資料請求で聞いておきたい10の質問

専門学校の案内には、合格の実績が載っていることがあります。
その数字を比べる前に、何を数えた数字なのかを聞いてみてください。
数え方が違えば、同じ「合格率」でも比べられないからです。

説明会や資料請求のときに、次の10個を聞いてみてください。

  • ① 合格の数は、受かった「人数」ですか?それとも、受かった「試験の数」(1人が何か所も受かると増える数)ですか?
  • ② 1次試験(筆記)の合格ですか?最終合格ですか?
  • ③ 消防だけの数字ですか?警察官や市役所などと合わせた数字ですか?
  • ④ 途中でやめた人や、試験を受けなかった人も、分母に入っていますか?
  • ⑤ 去年の卒業生のうち、消防に採用された人は何人中何人ですか?
  • ⑥ 卒業生は、高卒程度と短大卒程度のどちらの区分で受ける人が多いですか?この学科は専門士がもらえますか?
  • ⑦ 面接の練習と作文の添削は、どれくらいの回数で、だれが見てくれますか?
  • ⑧ 体力試験(1500m・シャトルランなど)の練習はありますか?
  • ⑨ 入学金を含めた、卒業までの総額はいくらですか?教材・模試・寮などのほかの費用はかかりますか?
  • ⑩ 国の修学支援新制度の対象校ですか?途中でやめたときの学費の扱いはどうなりますか?

私の学校には、面接の練習・作文の添削・模試や過去問・受ける本部の情報がありました。
一方で、体力試験の練習はありませんでした。
何があるかは学校ごとに違うので、質問の⑦と⑧は特に聞いておいてください。

気になる学校がいくつかあるなら、どの学校にも同じ10の質問をして、同じ物差しで比べましょう。

※出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(2026年10月に確認)

専門学校に行かないなら:独学か講座かは、こちらで判断を

専門学校に行かないと決めたら、次に迷うのは「独学にするか、講座を使うか」だと思います。
その分かれ目は、別の記事にまとめました。

👉 消防士採用の勉強は独学?講座?|働きながら5資格を取った現役14年目が、それでも面接だけは人に見てもらえと言う理由

筆記・体力・面接をふくめた採用試験の全体の流れは、こちらです。

👉 消防士になるには?現役14年目が採用試験・面接・必要な資格や年齢を正直に解説【体験談】

よくある質問

Q. 専門学校に行ったかどうか、消防に入ってから関係ありますか?

私は、消防に入ってから、専門学校に行ったかどうかが関係あると感じたことはありません。
昇任のしやすさや早さでも、学歴の差は感じていません。

Q. 大学と専門学校、給料はどちらが得ですか?

私は専門学校に通いながら、高卒程度の区分で採用されました。
そのため、ここでは大卒程度と高卒程度で比べます。
職場で見ていると、大卒と高卒程度では初任給に差があり、年数がたってもその差はなくならないと感じます。
私の場合、採用されてすぐの、消防学校にいた期間は、基本給が約14.3万円で、手取りは12万円に届かないくらいでした(10年以上前の数字です)。
一方で、高卒程度で入れば、そのぶん早く働き始めます。
どちらが得かは一概に言えないので、年代別の年収と一緒にこちらで見てください。

👉 消防士の年収を年代別に解説【20代〜50代・高卒/大卒の違い】|現役14年目が目安と実体験を公開

Q. 1年制と2年制、どちらがいいですか?

私は2年制でした。
どちらがいいかは、受けたい区分と年齢によって変わります。
1年制の課程では、専門士はもらえません。
2年制でも、もらえるかは学科しだいです(くわしくは「専門士とは?」の項)。
書き方Cのように、専門士のあるなしで受ける区分が変わる本部もあるので、受けたい本部の要項を先に見ておきましょう。

Q. 専門学校で救急救命士の資格は取れますか?

救急救命士の養成課程がある専門学校や大学で学べば、国家試験を受けられます。
公務員試験の専門学校とは、学ぶ中身が違う学校です。
もう一つ、消防に入って救急の仕事を経験してから、研修所で学んで国家試験を受ける道もあります。
私はこちらの道で、採用されてから8年目に研修所で半年学び、救急救命士になりました。
救急隊員と救急救命士の違いは、こちらで書いています。

👉 救急隊員になるには?資格は「救急科」250時間の修了|救急救命士・消防隊との違いを現役14年目の消防士が正直に解説

※出典:e-Gov法令検索「救急救命士法」第34条(2026年10月に確認)

Q. 専門学校では、どんな教材を使いましたか?

学校が集めた紙の教材を使っていたので、市販の問題集のシリーズ名は分かりません。
独学で受ける人は、受ける区分(高卒程度・大卒程度など)に合った問題集を選んでください。

Q. 専門学校に行けば受かりますか?

専門学校に通うことは、合格の条件でも、合格の約束でもありません。
採用は、本部が行う採用試験の結果で決まります。
私も、受かったのは「総合点」だったと思っています。

まとめ:まずは受けたい本部の募集要項を1つ開いてください

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 消防士になるのに、専門学校は必須ではありません。受けたい本部の採用試験に受かればなれます
  • 専門学校卒がどの区分で受けるかは、本部によって違います。答えは募集要項の学歴欄にあります
  • 学費は国の統計で1年あたり約114万円(全分野の平均・入学金は含まない)。実際の額は学校の募集要項で足し算します
  • 私の学校で特に役に立ったのは、毎日決まった時間に勉強する環境・模試と過去問・同じ目標の仲間でした
  • 私の場合、体力と「なぜこの自治体か」は、学校に通っていても自分でやる部分でした

高校3年生に戻れるとしたら、私は働きながら独学か講座で受ける道を選ぶと思います。
でも、どの道を選ぶにしても、最初にやることは同じです。

今日やってほしいことは、次の3つです。

  • ① 受けたい本部の募集要項を1つ開き、受験資格(学歴の欄と生年月日)を見る
  • ② 専門学校の説明会に行くなら、「説明会で聞きたい10の質問」を持っていく
  • ③ 行かないと決めたら、独学か講座かを決める(下の記事へ)

募集要項を1つ開くだけで、「自分はどの区分で、何歳まで受けられるか」がはっきりします。
そこから、あなたに合う道を選んでください。

👉 消防士採用の勉強は独学?講座?|働きながら5資格を取った現役14年目が、それでも面接だけは人に見てもらえと言う理由

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