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フルマラソンを走るのに、マラソンペースで練習したことがない。そんなランナー、実は多いんじゃないでしょうか。
私もそうでした。EペースでジョグしてTペースでテンポ走して、気づいたらMペース(マラソンペース)という強度をすっ飛ばしていた。正直に言うと、本格的にフルマラソンのタイムを狙ったことはまだありません。20歳のときに友人と記念で完走したことがある程度です。VDOTという指標を知って初めて、Mペースが「フルマラソン走者にとって最も直結する練習強度」だと理解しました。
普段の練習でMペースを毎回やるわけではありませんが、ロング走の後半に取り入れたり、怪我明けのポイント練習初回に使ったりと、場面を選んで活用しています。
1500m 4分30秒・3km 9分45秒・5km 16分58秒(VDOT 59)の消防士ランナー8年目が、Mペースの使い方を正直に解説します。
📋 この記事を読むと分かること
- MペースとはVDOTに基づくマラソン専用のトレーニング強度
- フルマラソン完走・タイム改善に最も直結する理由
- VDOT別Mペースの早見表(フルマラソン目安タイム付き)
- ロング走や怪我明けにMペースを使う実践的な方法
Mペースとは何か
Mペースとは、ジャック・ダニエルズ博士が定義した5つのトレーニングペースゾーンのひとつで、フルマラソンのレースペースと一致する強度です。VO2maxの約75〜84%に相当し、E(イージー)とT(テンポ)のちょうど中間に位置します。
感覚的には「話そうと思えば話せるが、あまり長く続けたくない」くらいの強度。きつくはあるけれど、コントロールはできている。フルマラソンのレース本番に近い強度なので、マラソン走者にとって最も「使いやすい」練習ペースとも言えます。
VDOTで計算したMペースは、そのままフルマラソンの目標ペースになります。私のVDOT 59だとMペースは3:51/km。これはフルマラソンを約2時間42分で走るペースに相当します。
なぜマラソン走者にMペースが重要なのか
E・M・T・I・Rの5つのペースゾーンの中で、Mペースだけがレース本番と同じ強度です。フルマラソンを完走したい・タイムを縮めたいなら、42.195kmをそのペースで走り切るための体の準備が必要です。
Mペース練習には主に3つの効果があります。
① レースペースに体を慣らす:筋肉・腱・心肺がフルマラソンペースに適応していきます。
② 脂肪燃焼効率が上がる:Mペースはグリコーゲンと脂肪を両方使う強度帯。42kmを走り切るためのエネルギー供給能力が高まります。
③ メンタル面での慣れ:「このペースで長く走る」感覚を体に覚えさせることで、レース本番の不安が減ります。
EペースとTペースだけで練習しているランナーは、実はMペースという「マラソン専用の練習」が抜け落ちています。特に初マラソンを目指している方は、意識的にMペース練習を入れることで完走の確率が大きく上がります。
VDOT別Mペース早見表
自分のVDOTが分かれば、Mペースは一発で決まります。以下の表を参考にしてください。フルマラソンの目安タイムも一緒に載せています。
| VDOT | Mペース | フルマラソン目安 |
|---|---|---|
| 40 | 5:10/km | 3時間38分 |
| 45 | 4:50/km | 3時間22分 |
| 50 | 4:27/km | 3時間07分 |
| 55 | 4:07/km | 2時間53分 |
| 59(私の実測) | 3:51/km | 2時間42分 |
※ 正確な値はvdoto2.com(無料)にレースタイムを入力して確認できます。
Mペースの具体的な練習メニュー例
Mペースを使った代表的なトレーニングメニューを紹介します。いずれもダニエルズ理論に基づく構成です。
- 【ロング走+Mペース】20kmの後半10kmをMペースで走る(前半10kmはEペース)
- 【Mペース単独走】16〜18kmをMペースで走り通す(上級者向け)
- 【分割Mペース走】5km×3本をMペースで(つなぎ1〜2kmはEペース)
1回のMペース走での合計距離の目安は週間走行距離の25〜29%までがダニエルズの推奨です。距離を欲張らず、余裕を持って終わることを意識してください。

僕はトラック中心でフルは走りませんが、Mペースは“怪我明けの足慣らし”に重宝しています。きつすぎず、でも刺激は入る、絶妙な強度なんです。
私がMペースを実際に使っている2つの場面
ここからは教科書の話ではなく、フルマラソンを走らない私が、それでもMペースを使い続けている場面を書きます。
① 怪我明けの「最初の2週間」を、まるごとMペースにあてる
私はこれまでのすべての怪我のあとに、この使い方をしています。
やり方はシンプルです。ポイント練習を再開するときの序盤、およそ2週間をMペースで通す。そのあとで、通常のTペースやIペースに戻していきます。
ポイントは、「復帰◯回目から」と回数で決めていないことです。
休養にどれだけかかるかは、怪我の種類も程度も毎回違います。
だから私は「何回休んだか」ではなく、「走り出してからの2週間」という期間で区切っています。これならどんな怪我のあとでも、同じ物差しが使えます。
Tペース(3:38/km)との差は約13秒/km。数字で見ればわずかですが、体への衝撃はしっかり減ります。
それでいてEペースのジョグよりは明らかに強度が高いので、「ポイント練習をやっている感覚」を取り戻せるのが一番の利点です。
正直に書きます|うまくいく時と、いかない時があります
ここはごまかさずに書いておきます。
この方法は、いつもうまくいくわけではありません。
2週間のMペースで気持ちよく戻れることもあれば、走ってみて「まだ早い」と感じることもあります。
そう感じたときは、迷わず強度を落として、ジョグまで戻します。
復帰の記事は成功談ばかりが並びがちですが、実際はこの繰り返しです。
Mペースは「これをやれば必ず戻れる魔法」ではなく、戻れるかどうかを確かめるための物差しだと思っています。
むしろ大事なのは、ダメだと思ったときに下げられることのほうです。焦ってTペースから再開して再負傷するより、一段下げて確実に戻るほうが、結局は早く戻れます。
② 週1回のロング走の、最後の5km
もうひとつはロング走です。
私のロング走は週1回、距離は16〜18km。
そのうち最後の5kmくらいをMペースに切り替えることがあります。
教科書的なメニューでは「20kmの後半10kmをMペース」といった構成が紹介されますが、私の実際はもっと控えめです。フルマラソンに向けた練習ではないので、そこまで積む必要がないからです。
入れるかどうかは走りながら決めています。
Eペースのままだと単調に感じる日に、「少し上げようかな」と思ったタイミングで切り替える。調子や疲労を見ながらなので、毎回はやりません。
Mペースの体感|Tペースよりだいぶ楽。ただし例外があります
よく「話そうと思えば話せるが、長くは続けたくない強度」と説明されます。教科書的にはそのとおりです。
私の実感で言うと、Tペースと比べたときは「だいぶ楽」です。3:38/kmと3:51/kmの差は13秒ですが、体感の差はもっと大きく感じます。
ただし、これには条件がつきます。
疲労が溜まっている日は、Mペースでも全然きついです。
同じ3:51/kmなのに、24時間勤務明けや睡眠不足の日は、まったく別のペースのように感じます。
だから「Mペース=楽なペース」とは覚えないほうがいいです。楽に感じるかどうかは、その日のコンディション次第。数字は同じでも、体感は毎回違います。
Mペースを使うときの注意点
- TペースとMペースを混同しない:Mペースの方が遅い。感覚が似ているため、気づくと速くなっていることがある。必ずVDOTから計算した数値で管理する
- マラソンを目指していない人は優先度が低い:5km・10kmが目標ならIペースやRペースの方が効果的。Mペースは「フルマラソン走者専用」と覚えておく
- Mペース練習だけに頼らない:TペースやIペースも組み合わせることで全体の走力が上がる。バランスが大切
- 距離を欲張らない:週間走行距離の25〜29%を上限にする。オーバーペースと同じくらい「オーバー距離」も故障の原因になる
👉 ダニエルズのランニングフォーミュラとは?5つのペース体系の全体像はこちら
Mペース走のような長めの設定走では、シューズ選びも結果を左右します。私が実戦で使っているシューズはこちらのレビューで正直に書いています。
私がフルマラソンに挑んでいない理由と、これからのこと
ここまで読んで、こう思った方がいるかもしれません。
「フルを走らないのに、なぜマラソンペースの記事を書いているのか」と。
正直に答えます。いつかフルマラソンでサブスリー(3時間切り)を達成したいと思っているからです。
私のフルマラソンは、5時間半・何度も歩いて完走がやっとでした
私がフルマラソンを走ったのは、20歳のとき、友人と記念で出た1回だけです。
タイムは5時間半くらい。
しかも何度も歩きました。完走するのがやっと、という状態です。
あの頃はトレーニング理論もペース管理も何も知りませんでした。勢いで申し込んで、勢いで走って、途中から歩いた。それだけです。
数字の上では届いている。でも、それだけでは走れない
いまの私はVDOT 59。Mペースは3:51/kmで、これはフルマラソン2時間42分に相当するペースです。
サブスリーに必要なのは4:16/km。計算上は、すでに射程に入っています。
ただ、これはあくまで机上の数字です。
私が持っているのは1500m〜5kmの走力であって、42.195kmを同じペースで走り切る耐性は、まだ試したことがありません。
ロング走は週1回・16〜18km。フルの半分にも届いていません。
ここから距離を伸ばしていけるかどうかは、正直まだ分かりません。それが今の等身大の状態です。
だからこの記事は「フルマラソン経験者が語る攻略法」ではありません。
5時間半で歩いた人間が、8年かけてVDOT 59まで来て、これからサブスリーを狙うために使っている道具の話です。
同じように「フルは走らないけどMペースって使えるの?」と思っている人へ。怪我明けとロング走という2つの使い道が、確実にあります。
そしていつかフルに挑むときには、この数字がそのまま目標ペースになります。
まとめ
- MペースはVDOTに基づくフルマラソンのレースペースそのもの
- E・Tの中間に位置し、脂肪燃焼・レース適応・メンタル慣れの3つを鍛える
- ロング走の後半や怪我明けのポイント練習初回など、場面を選んで使うのが効果的
- マラソン完走・タイム短縮を目指すなら、意識的にMペース練習を取り入れよう
- まず自分のVDOTを計算して、Mペースを把握することが第一歩
フルマラソンを本気で走りたいなら、Mペースを無視するのはもったいない。まず自分のVDOTを調べて、Mペースを把握することから始めてみてください。
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MペースやVDOTの概念を作ったジャック・ダニエルズ博士の著書。ペースゾーンの根拠から実践的な練習プランまでこの一冊に詰まっています。


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